発達の凸凹がある子の「良いところ」を見つけるには?強みを育む家庭での関わり方
お子さんの発達に「凸凹がある」と診断されたとき、戸惑いや不安を感じることは自然なことです。今後のこと、どうすれば良いのか、様々な情報の中で混乱することもあるかもしれません。このサイト「発達支援ナビゲーター」は、お子さんの発達支援について適切な情報を見つけ、家庭での関わり方を考える一助となることを目指しています。
この記事では、診断を受けて一歩を踏み出すにあたり、お子さんの「良いところ」や「強み」に目を向けることの大切さと、それを家庭で育むための具体的な関わり方についてお伝えします。
診断は「悪いところ」探しではありません
発達の「凸凹」とは、特定の分野の発達がゆっくりであったり、苦手なことがある一方で、別の分野では年齢相応あるいはそれ以上に発達していたり、得意なことがある状態を指します。診断は、お子さんの発達特性を理解し、その特性に合わせたサポートや関わり方を考えていくための始まりに過ぎません。
診断を受けたことで、つい苦手なことや難しい点ばかりに目が行きがちになるかもしれません。しかし、お子さんには苦手なことと同じくらい、たくさんの良いところや得意なことが必ずあります。診断は、お子さんの全てを否定するものではなく、むしろお子さん独自の個性や可能性を理解するための大切な手がかりなのです。
なぜ「良いところ」に目を向けることが大切なのでしょうか
お子さんの良いところや強みに目を向けることには、いくつかの重要な意味があります。
- お子さんの自己肯定感を育む: 自分の良いところや得意なことを認められる経験は、お子さんの自信につながります。「自分にはできることがある」という感覚は、新しいことへの挑戦意欲や、困難に立ち向かう力を育みます。
- 親子の関わり方がポジティブになる: 親御さんがお子さんの良いところに目を向け、それを肯定的に伝えることで、お子さんは「自分は愛されている」「認められている」と感じることができます。これは親子の信頼関係を深め、関わり方をより温かく、前向きなものに変えていきます。
- 苦手なことへのサポートにつながる: 得意なことや興味があることを通して、苦手なことへの取り組みを促す工夫が見つかることがあります。例えば、特定のキャラクターが好きなら、そのキャラクターを使った教材で学ぶ意欲を高めるなど、強みを足がかりにしたサポートが可能になります。
- お子さんの可能性を広げる: 「良いところ」や「強み」は、将来的な興味や才能につながる可能性を秘めています。そこに注目し、伸ばしていくことで、お子さんの選択肢や可能性を広げることができます。
お子さんの「良いところ」や「強み」を見つけるには?
日々の生活の中で、お子さんの良いところや強みを見つけるための具体的な視点をご紹介します。
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観察する視点を変える:
- 「できないこと」を探すのではなく、「どんな時に楽しそうか」「何に集中しているか」「どんなことができるようになったか」という視点で観察してみてください。
- 当たり前だと思っているお子さんの行動の中に、隠れた良いところがあるかもしれません。「毎日自分で着替えようとしている」「指示されなくても靴を揃える」など、小さなことでも構いません。
- 他の子と比べるのではなく、過去のお子さん自身と比べて、できるようになったこと、得意になったことを見つけます。
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具体的な行動や様子を記録する:
- 「今日は〇〇(具体的な行動)ができた」「〇〇(具体的な興味)について、楽しそうに△△していた」のように、具体的なエピソードとしてメモを取ると良いでしょう。
- 写真や動画で記録することも、後で見返した時に新たな発見があったり、お子さん自身が良い体験を思い出したりするきっかけになります。
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「スモールステップ」での成長を肯定する:
- 大きな変化だけでなく、小さな一歩一歩の成長に目を向け、肯定的な言葉をかけてください。
- 例えば、「靴下を最後まで自分で履けたね」「おもちゃを一つ元の場所に戻せたね」など、具体的な行動を褒めることが効果的です。結果だけでなく、そこに至るまでの努力やプロセスも評価することが大切です。
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興味や関心に注目する:
- お子さんが何に強い興味を示すか、どんな活動に時間を忘れて没頭するかを観察します。特定のキャラクター、乗り物、動物、形、色など、どんなことでも構いません。
- その興味を深めるためのサポートを考えることは、お子さんの強みを育む重要なステップになります。
家庭で「良いところ」や「強み」を育む関わり方
見つけたお子さんの良いところや強みを、家庭でさらに伸ばしていくための具体的な関わり方をご紹介します。
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肯定的な言葉で伝える:
- 「〇〇(具体的な行動)ができたね、すごいね!」「〇〇(興味)について、たくさん知っているんだね、びっくりしたよ!」のように、具体的に褒める言葉を使います。
- 「あなたは優しいね」「〇〇が得意なんだね」など、その子の存在や特性そのものを肯定する言葉も大切です。
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興味を広げるサポートをする:
- お子さんが興味を持ったことについて、一緒に調べたり、関連する場所へ行ったり、必要な道具を揃えたりするなど、興味を深めるサポートをします。
- 例えば、電車が好きなら図鑑を見たり、本物の電車を見に行ったり、電車のおもちゃで遊んだり、描いてみたりと、様々な角度から関われるように促します。
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成功体験を積める機会を作る:
- お子さんの発達段階や特性に合わせて、無理なく取り組める課題を設定し、成功体験を積める機会を意図的に作ります。
- 少し難しそうであれば、課題をより小さなステップに分け、一つずつクリアできる喜びを感じられるようにサポートします。
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安心して挑戦できる環境を作る:
- 失敗を恐れずに新しいことに挑戦できるよう、「失敗しても大丈夫だよ」「もう一度やってみよう」と声をかけ、安心できる環境を作ります。
- 結果だけでなく、挑戦したこと、努力したこと自体を認め、褒める姿勢が大切です。
焦らず、お子さんのペースで
お子さんの発達の「凸凹」と向き合い、良いところや強みを見つけて育んでいく道のりは、時に試行錯誤が必要です。すぐに変化が見られなくても、焦る必要はありません。
大切なのは、親御さんがお子さんの可能性を信じ、日々の成長に目を向け続けることです。そして、親御さんご自身が一人で抱え込まず、周りのサポート(専門機関、家族、友人など)を借りながら進んでいくことです。
お子さんの良いところや強みに目を向けることは、お子さん自身が自信を持って生きていくための大切な土台となります。診断をネガティブなものと捉えすぎず、お子さんの個性や可能性をより深く理解する機会として、ぜひポジティブな視点を取り入れてみてください。
このサイト「発達支援ナビゲーター」は、お子さんの発達支援に関する様々な情報を提供し、親御さんの歩みをサポートしたいと考えています。この記事が、お子さんの素晴らしい「良いところ」に気づき、育んでいくための一助となれば幸いです。