お子さんの発達診断後、夫婦で話し合う大切なこと
お子さんの発達診断を受けられたとのこと、まずはお疲れ様でした。診断は、お子さんの成長をより良くサポートしていくための大切な一歩です。しかし同時に、ご夫婦それぞれが様々な感情を抱え、今後の見通しについて考え、話し合う必要が出てくるタイミングでもあります。
この時期は、お子さんのこと、将来のこと、そしてご自身の気持ちなど、考えるべきこと、向き合うべきことがたくさんあります。パートナーとの間でも、受け止め方や考え方に違いが生じ、どのように話し合えば良いか戸惑うことがあるかもしれません。
この記事では、お子さんの発達診断後にご夫婦でどのように向き合い、情報を共有し、協力体制を築いていくかについて、大切なポイントをお伝えします。診断後の道のりを、ご夫婦で共に歩んでいくための一助となれば幸いです。
診断結果について、ご夫婦で共通理解を持つことの重要性
お子さんの発達特性について診断を受けた際、その結果をどのように受け止めるか、今後のサポートについてどのように考えるかは、ご夫婦それぞれで異なる場合があります。例えば、
- 診断名や特性について、一方の方がより専門的な情報を求めている
- 今後の療育や支援について、考え方や希望に違いがある
- 診断結果に対する感情(安堵、戸惑い、不安など)が違う
このような違いがあること自体は自然なことです。大切なのは、これらの違いを理解し、ご夫婦でお子さんの発達特性と今後のサポートについて、できる限り共通の理解を持つことです。共通理解があることで、家庭での関わり方や、外部機関との連携において、ブレなく一貫性のある対応が可能になります。これは、お子さんにとって最も安心できる環境を作る上で非常に重要です。
落ち着いて話し合うための準備
診断結果を受け取った直後は、様々な情報が頭の中を駆け巡り、感情的になりやすい時期かもしれません。まずは、ご夫婦それぞれが少し落ち着いて、ご自身の気持ちや考えを整理する時間を持つことも大切です。その上で、話し合いの場を持つようにしましょう。
話し合いの際は、以下の点を意識すると、建設的に進めやすくなります。
- 時間と場所を選ぶ: お子さんが寝た後や、第三者にお子さんを見てもらえる時間など、ご夫婦だけで落ち着いて話せる時間を選びましょう。自宅のリビングなど、リラックスできる場所が良いでしょう。
- 目的を共有する: 「診断結果について互いの理解を深めること」「今後のサポートについて一緒に考えること」など、何のために話し合うのか、事前に目的を共有しておきます。
- 感情的にならない努力: お互いを責めたり、感情的に一方的に話したりするのではなく、冷静に耳を傾ける姿勢が大切です。もし感情的になりそうだと感じたら、一度休憩を挟むことも有効です。
話し合いで共有したい大切なこと
話し合いでは、お子さんの診断結果に関する情報だけでなく、お互いの気持ちや今後の希望についても丁寧に共有することが重要です。
- 診断結果に関する情報:
- 診断名や特性について、専門家から聞いた説明を共有します。もし診断報告書があれば、一緒に読みながら確認するのも良いでしょう。専門用語が難しい場合は、分からなかった点や疑問点を共有し、一緒に調べたり、次の機会に専門家に質問したりすることを考えます。
- お子さんの「できること」「得意なこと」(強み)と、サポートが必要なこと(課題)の両方に目を向け、具体的にどのような特性があるのか、具体的なお子さんの様子と結びつけて話し合います。
- お互いの気持ちと受け止め方:
- 診断を受けて、ご自身が率直に感じている気持ち(安心、不安、悲しみ、戸惑いなど)を素直に伝え合います。「〇〇(診断名など)と聞いて、正直とても驚いています」「今後のことが具体的に分からず、不安な気持ちです」のように、「私は〇〇と感じている」という「I(アイ)メッセージ」で伝えることを心がけると、相手も受け止めやすくなります。
- パートナーの感じていることにも耳を傾け、理解しようと努めます。すぐに解決策が出なくても、「〇〇なんだね、つらいね」「△△について不安を感じているんだね」のように、相手の気持ちに寄り添う言葉を返すだけでも、大きな支えになります。
- 今後のサポートに関する考えや希望:
- これからどのようなサポートをお子さんに提供していきたいか、具体的な療育機関や支援の種類(児童発達支援、放課後等デイサービスなど)、家庭での関わり方について、現時点で考えていることや希望を共有します。
- 「情報収集は私が担当したい」「機関への連絡は一緒に行こう」「家庭での関わり方で特に意識したいことは〇〇だね」のように、具体的な行動や役割分担についても、話し合いの初期段階から少しずつ検討を始めると良いでしょう。
協力体制を築き、共に歩むために
一度話し合っただけで、全てが解決するわけではありません。お子さんの成長や状況の変化に応じて、また新しい情報や課題が出てくるたびに、ご夫婦で話し合い、協力していく姿勢が大切です。
- 役割分担と情報共有: 情報収集、専門機関への連絡、医師や専門家との面談への同席、家庭での療育的な関わりなど、ご夫婦で無理のない範囲で役割を分担することを検討します。どちらか一方に負担が偏らないように、定期的に状況を共有し、必要に応じて役割を見直しましょう。
- お互いを労い、感謝する: 見えない努力や負担もたくさんあります。パートナーが頑張っていること、してくれたことに対して、「ありがとう」「お疲れ様」といった感謝や労いの言葉を伝え合いましょう。
- 一人で抱え込まない仕組みを作る: 夫婦だけで抱え込まず、信頼できる友人や家族、専門家(医師、心理士、相談支援専門員など)、同じような経験を持つ家族の会(ペアレントメンターなど)に相談することも大切です。ご夫婦どちらかがつらい時、もう一方が支えになり、必要なら外部の力を借りるという体制を作りましょう。
- 夫婦二人の時間を持つ: 子どものサポートに力を注ぐことは大切ですが、ご夫婦二人の関係性も維持することが重要です。時々は子どもを預けて二人で食事に行ったり、共通の趣味を楽しんだりする時間を持つことで、リフレッシュし、お互いを支え合うエネルギーを養うことができます。
まとめ:焦らず、一歩ずつ
お子さんの発達診断は、ご家族にとって大きな出来事です。すぐに全てを理解し、完璧な対応をすることは難しいかもしれません。焦る必要はありません。まずはご夫婦で現状を共有し、お互いの気持ちに寄り添い、できることから話し合いを始めてみてください。
診断後の道のりは、お子さんだけでなく、ご夫婦にとっても学びと成長の機会となります。情報収集や外部機関との連携、家庭での関わり方など、一つずつ段階を踏んでいく中で、迷うことや悩むこともあるでしょう。
そんな時、一番の味方であり理解者であるパートナーと共に考え、支え合うことができるのは、何より心強いことです。ご夫婦で力を合わせ、お子さんの可能性を広げるためのサポートを、焦らず、しかし着実に進めていかれることを願っています。
一人で抱え込まず、時には立ち止まり、そしてまた共に一歩を踏み出してください。応援しています。