お子さんの発達診断:医師との面談で聞くべきこと・伝えるべきこと
お子さんの発達診断結果について、医師から説明を受ける面談は、今後の方向性を決める上で非常に大切な機会です。診断名や検査結果を聞くこと自体に緊張や不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。また、限られた時間の中で、聞きたいことをすべて聞けるか心配になる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、医師との面談を実りあるものにするために、事前に準備できること、面談で具体的に聞くべきこと、そして医師にぜひ伝えていただきたいお子さんの様子について解説します。この面談が、お子さんへの理解を深め、適切な支援につなげるための一歩となるよう、一緒に準備を進めていきましょう。
診断結果を聞く面談に臨む前に
面談の時間を有効に使うために、いくつか事前に準備しておくと良いことがあります。
1. 面談で確認したいこと、質問したいことを整理する
診断名や検査結果について、どのような点を知りたいか、具体的に質問したいことは何かを事前に書き出しておきましょう。例えば、「診断名は何ですか」「この診断名はどういう意味ですか」「検査結果のこの項目は何を示していますか」といった基本的な質問から始められます。
また、今後の生活や支援について知りたいことも整理しておくと良いでしょう。「今後の発達の見通しはどのようになりますか」「家庭ではどのように関われば良いですか」「どのような支援(療育など)が考えられますか」「次に取るべきステップは何ですか」といった内容は、多くの方が気になる点です。
質問リストを作成しておくことで、面談中に慌てたり、聞き忘れてしまったりするのを防ぐことができます。
2. 医師に伝えたいお子さんの様子をまとめる
診断は検査結果だけでなく、ご家庭や園・学校での日常の様子も踏まえて行われます。医師にお子さんのことをより深く理解してもらうために、普段の様子で気になること、困っていること、そして反対に得意なことや好きなことなどを具体的に伝えると良いでしょう。
例えば、「特定の音に敏感なようで、大きな音がすると耳をふさぎます」「新しい場所に行くと強い不安を感じ、慣れるのに時間がかかります」「一度興味を持ったことには集中して長時間取り組めます」「パズルが得意です」といった具体的なエピソードをいくつか準備しておくと、お子さんの特性や状態をより正確に伝えることができます。メモに書き出しておくと、話しやすいです。
医師との面談で聞くべきこと
面談では、事前に準備した質問リストを参考に、分からない点を積極的に質問しましょう。特に以下の点について確認することをおすすめします。
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診断名や特性について:
- 診断名は何ですか。
- 診断名や検査結果は、お子さんの発達特性について具体的にどのようなことを示していますか。
- お子さんの強みや得意なことは何ですか。
- お子さんの苦手なことや、支援が必要な可能性のある点は何ですか。
- これらの特性は、年齢とともにどのように変化する可能性が考えられますか。
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今後の見通しと関わり方について:
- 今後の発達の見通しについて、一般的な傾向や、お子さんの場合はどう考えられるか教えてください。
- 家庭では、どのような点に気をつけて関われば良いですか。
- 特に困っている行動や状況(例: 癇癪、偏食、集団行動の難しさなど)について、家庭でできる具体的な対応方法があれば教えてください。
- お子さんの良いところや強みを伸ばすために、家庭でできることはありますか。
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支援や療育について:
- お子さんにはどのような支援(療育、学校での配慮など)が推奨されますか。
- 具体的にどのような種類の療育機関(例: 児童発達支援センター、放課後等デイサービスなど)がありますか。
- 支援や療育は、具体的にどのような目的で行われますか。
- 支援や療育を始めるために、次にどのような手続きが必要ですか(例: 医師の意見書、自治体への申請など)。
- 利用できる可能性のある公的な支援制度(例: 療育の無償化、手当など)について教えていただけますか。
限られた時間で全てを聞き切ることは難しいかもしれませんが、特に重要だと感じる点を優先的に質問しましょう。医師の説明で分からない専門用語が出てきたら、「〜とはどういう意味ですか」と遠慮なく質問して構いません。メモを取りながら聞くと、後で見返すのに役立ちます。
医師に伝えるべきこと
面談の時間は、医師がお子さんの全体像を把握するための大切な機会です。診断をより的確なものとし、今後の支援に繋げるためにも、以下の点を積極的に伝えましょう。
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お子さんの日常生活の様子:
- ご家庭でどのように過ごしていますか。
- 食事、睡眠、排泄など、基本的な生活習慣はどうですか。
- 遊び方や興味関心のあることは何ですか。
- ご家族や他の子どもたちとの関わり方はどうですか。
- 特に困っていること、悩んでいることはどのような状況で起こりますか(具体的なエピソードを伝える)。
- 反対に、お子さんが安定している時や、スムーズにできるのはどのような時ですか。
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養育者の方の願いや不安:
- お子さんに対して、将来どのような成長を願っていますか。
- 子育てで特に不安に感じていることは何ですか。
- 日頃の関わりで、どのような点が難しいと感じていますか。
- どのような情報や支援を求めていますか。
これらの情報は、医師がお子さんの発達特性を多角的に理解し、ご家族にとって最適な支援計画を提案する上で非常に役立ちます。
診断結果を支援に繋げる話し合い
医師との面談は、診断結果を知る場であると同時に、今後の支援について話し合うスタート地点でもあります。医師から推奨された支援方法や次に取るべきステップについて、しっかりと確認しましょう。
- 診断名だけでなく、お子さんの特性に基づいた具体的な支援の方向性について話し合います。
- 推奨された療育や支援の種類について、その目的や内容について理解を深めます。
- 受給者証の申請など、具体的な手続きについて確認します。
- 今後、どのような専門機関や相談窓口に繋がるのか、医師に紹介や情報提供を求めることも可能です。
医師は、お子さんとご家族をサポートするための専門家です。面談の時間を活用し、信頼関係を築きながら、今後の支援について一緒に考えていきましょう。
まとめ
お子さんの発達診断後の医師面談は、不安を感じる一方、お子さんの特性を理解し、今後の支援の道筋を知るための重要なステップです。事前に質問したいことや伝えたいお子さんの様子を整理し、面談では分からない点を遠慮なく質問することで、得られる情報を最大限に活かすことができます。
この面談で得た情報は、今後の療育機関選びや家庭での関わり方のヒントとなり、お子さんの成長をサポートするための大切な一歩となります。一人で抱え込まず、医師や専門家と連携しながら、お子さんとご家族にとって最適な道を見つけていってください。焦る必要はありません。一つずつ、できることから取り組んでいきましょう。