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療育費用について知りたい:いくらかかる?無償化の対象になる?

Tags: 療育費用, 無償化, 児童発達支援, 放課後等デイサービス, 公的制度

お子さまの発達について専門機関から診断を受け、今後の療育や支援について検討を始められていることと思います。その際、療育にはどのくらいの費用がかかるのか、国の支援制度はあるのかなど、費用面について不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、お子さまが療育や発達支援を利用する際にかかる費用や、現在実施されている無償化制度について、分かりやすくご説明します。費用についての理解を深め、安心して今後の支援について検討を進めるための一助となれば幸いです。

療育・発達支援にかかる費用の基本的な考え方

お子さまが利用する療育や発達支援の多くは、国や自治体の公的な制度に基づいています。これらのサービスは「障害児通所支援」と呼ばれ、「児童福祉法」という法律に基づいて提供されています。

公的なサービスを利用する場合、原則としてかかった費用の1割を自己負担として支払うことになります。残りの9割は、お住まいの自治体などが公費で負担します。この自己負担分についても、後述する負担上限月額や無償化制度によって、実際の支払額が軽減されたり、無料になったりする場合があります。

自己負担には上限がある(負担上限月額)

公的な障害児通所支援には、「負担上限月額」という仕組みがあります。これは、1ヶ月あたりの自己負担額に上限が定められている制度です。たとえサービスの利用回数が多く、1割負担の合計額が高額になったとしても、この上限額を超えて支払う必要はありません。

この負担上限月額は、世帯の所得状況に応じて設定されています。

この所得区分は、4月~8月は前年度の所得、9月~3月は当年度の所得で判定されます。詳細はお住まいの市区町村の窓口で確認することができます。

3歳から5歳は療育・発達支援が無償化されます

お子さまが3歳になって初めて迎える4月1日から、小学校に入学するまでの3年間は、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援が無償化の対象となります。

これは、幼児教育・保育の無償化の対象に、障害のあるお子さま向けの通所施設等が含まれることになったためです。この無償化に所得制限はありません。対象期間のお子さまは、世帯の所得に関わらず、利用料の自己負担分がかかりません。

無償化の対象期間: * 満3歳になった後の最初の4月1日から小学校入学まで

例えば、4月生まれのお子さまは3歳の誕生日を迎えた後の4月1日から、7月生まれのお子さまは3歳の誕生日を迎えた後の翌年の4月1日から無償化の対象となります。

無償化の対象となるサービス: * 児童発達支援 * 放課後等デイサービス * 居宅訪問型児童発達支援 * 保育所等訪問支援 * 医療型児童発達支援

これらのサービスについて、国が定める基準内の利用料が無償化されます。

無償化の対象期間外の費用について

無償化の対象期間である3歳から5歳までのお子さま以外(0歳から2歳までのお子さま、小学生以上のお子さま)が障害児通所支援を利用する場合は、前述の負担上限月額までの自己負担が発生します。

例えば、0歳から2歳までのお子さまが児童発達支援を利用する場合や、小学生・中学生・高校生のお子さまが放課後等デイサービスを利用する場合は、世帯の所得に応じた負担上限月額(0円、4,600円、または37,200円)までの支払いが必要です。

実費でかかる費用もある

公的な障害児通所支援の利用料自体が無償化または負担上限月額の対象となりますが、それ以外の費用が実費でかかる場合があります。これらは無償化や負担上限月額の対象には含まれません。

例えば、以下のような費用です。 * 食事やおやつにかかる費用(食費) * 教材費、創作活動の材料費 * イベントなどにかかる費用 * 送迎にかかる費用(事業所が送迎を提供している場合)

これらの実費負担の有無や金額は、利用する事業所によって異なります。契約前に重要事項説明書などで確認することが大切です。

民間の発達支援サービスについて

公的な制度に基づかない、民間の自由診療や自費でのサービスもあります。これらのサービスは、公的な障害児通所支援のような費用負担の軽減制度(1割負担、負担上限月額、無償化)の対象外となります。費用は施設やサービス内容によって大きく異なりますので、直接ご確認ください。

費用について確認するには

療育や発達支援にかかる費用、無償化制度についてさらに詳しく知りたい場合は、まずはお住まいの市区町村の障害福祉課や子育て支援課などの担当窓口にご相談ください。お子さまの状況や世帯の状況に応じて、利用できる制度や手続きについて丁寧に説明を受けることができます。

また、利用を検討している事業所にも、利用料や実費負担について具体的に確認することが重要です。見学や相談の際に、費用の内訳や支払い方法について質問してみましょう。

まとめ

お子さまの発達診断を受けられた後、療育や支援の検討と並行して費用に関する不安を感じることは自然なことです。

公的な障害児通所支援は、1割負担や負担上限月額、そして3歳から5歳までのお子さまを対象とした無償化制度によって、費用負担が軽減される仕組みがあります。これらの制度を理解することで、費用面の不安を和らげ、お子さまに必要な支援を選びやすくなります。

どうぞ、一人で抱え込まず、自治体の窓口や支援機関に積極的に相談してみてください。適切な情報を得ることで、きっと次の一歩を踏み出す力になるはずです。私たちは、お子さまの健やかな成長を応援しています。